長い梅雨が明けた日

「でも…」

心底、私の体調を気遣ってくれてる琴美には悪いけどそれだけは譲れなかった。


心配そうな表情の琴美がふっと何かに気付いたような顔をした。

と思った時。


目の前のお弁当からおかずのハンバーグが一つ消えた。

あれ?と思った時に、またお弁当に伸びてきた手を辿って見れば河野が横に立っていた。

河野はそのままハンバーグを摘んで口に運ぶ。

「全然食ってねぇじゃん」

聞こえた声は優弥だった。

先に優弥が私のハンバーグを摘み食いしたようで口をもぐもぐさせながら話す。


…行儀が悪い。

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