長い梅雨が明けた日
本当の親友
玄関のドアが閉まる音を聞いた琴美は大きなため息を一つ洩らした。
そして私が横になっているベッドの枕元にうつ伏せるような体制で床にしゃがみ込んでから少しだけ室内を仰ぎ見て話しだした。
「…私、友達の家に来たの初めてなんだ」
予想外の言葉に寝ながら思わず自室を見回した。
お世話にも統一性のない室内。
優弥がいつ来るか分からないからと昔からある程度には片付ける癖がついていたけど、ぬいぐるみの山や机の上はお世辞にも片付いてるとは言えない。
思わず『こんな部屋でごめん』と呟きそうになる。
「私ね、中学は女子校だったけど家に遊びに行く程仲良くなった友達っていなかったんだ」