長い梅雨が明けた日
足元をよく見ていなかった私はテーブルの下にあった琴美のバッグに足を取られた。
「あ」
倒れるーー
そう思った私は河野の呆れ声で目を開けた。
「お前なぁ…」
倒れると思って諦めて目を伏せた瞬間に河野に抱き止められていたらしい。
「神田とおしゃべりに夢中になってちゃんと寝てなかっただろ?」
…バレてるし。
軽く私を支える河野の片手が私の首筋に触れた。
その瞬間、無意識にビクッと身体が強張った。
「…まだ熱あるんだから早く寝ろよ」
さっきの優弥同様におでこに冷えピタが貼ってあるから首筋で体温を確認しただけなんだろうけど、河野がそんなことをすると思わなかったからか変に緊張してしまった。
「分かってるよ。でも熱が出たのは河野のせいじゃないから気にしないでよ」