長い梅雨が明けた日
「……そっか。でも次は一人で帰さないからな」
バスケ部の部長らしく責任感の強い河野。
私がベッドに潜り込むとまた布団をきちんと直してくれた。
「俺は神田を家まで送ってそのまま帰るから。理乃はちゃんと寝てろよ」
そんな事を言いながら、横になった私の前髪を揃えるような河野の手の感触が冷えピタ越しに感じ取れた。
直後に何故か中学の時の河野を思い出した。
「じゃあまた明日な。ちゃんと熱下げてから学校来いよ」
今日、初めて河野は家の中に入ったはずだ。
なのに、部屋から立ち去る河野の後ろ姿に何故か見覚えがあった。
立ち去った河野と入れ違いに階段を上がってくる足音。