長い梅雨が明けた日

「理乃ちゃん」

部屋に入るなり声をかけてきたは琴美だった。

テーブル下に置いてあったスクバを取ると私の側に来た。


「私も帰るね。河野くんが送ってくれるって言うから…本当は遠慮したかったんだけど」
「ダメだよ。こんな時間に琴美を一人で歩かせるなら私が送るから。でも今日だけは河野で我慢してね」

私の言葉に何を思ったのか、琴美は微笑んで言った。

「じゃあちょっとだけ河野くん借りるね。また明日学校で話そうね」

琴美を玄関まで見送ろうとベッドから起きかけるとすぐに琴美に押し倒された。
私が大人しく寝ていないと帰らないと言われて渋々ベッドの中から琴美を見送った。

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