長い梅雨が明けた日
皆んなの忠告通りそのまま大人しく横になりながら耳を澄ませた。
私に気遣ってか、小声で『お邪魔しました』と言ってる声が聞こえた。
多分、河野の声。
きっと琴美も言ったんだろうけど声が小さすぎて聞こえなかったんだろな。
なんて思いながら部屋のドアへと視線を向けた。
そこでデジャヴのような河野の後ろ姿を思い出した。
ただ、思い出した後ろ姿は今の河野より背が低かった。
中学の時の河野だからだ。
…中学の時でも河野は家に来てないはず…
それと同時に、さっき何か思い出しかけたことがあった。
……なんだっけ……
部屋のドアを見つめながら中学の河野を思い出そうとするがロクな思い出しか出てこない。
まぁいいか。
そのうちに思い出すだろう。
そう思った時にドア越しに聞こえた声。
「理乃」