○○の嫉妬

帰りの時、冬真が夏希に話しかけていた。

話してるのも妬くのに話してる内容がこれだった。


「夏希~、一緒に帰ろ~。」


と。

夏希がいいよ、と言ってしまいそうだったのでこう言った。


「ダメ。俺と先約がある。」


「ちょっ秋斗、約束……んっ。」


約束なんかしていない、って言おうとした夏希の口を押えた。


「帰るよ、夏希。」


夏希の腕を掴み、昇降口の反対の方へと引っ張った。


「帰らないの!?昇降口あっちだよ!?」


そんな姿にさえ可愛いと思ってしまう。


「知ってる。お前どうして冬真と帰ろうとしてんの。」


「どうしてって秋斗と帰っても面白くないから。」


「俺といてつまんないわけ?」


ダメだ。

俺、夏希に八つ当たりしてる。


「つまんなくはない……けどもうちょい私に構ってほしい。」


うわっ……

爆弾を投げてきやがった。


「……お前どこでそんな可愛い言葉覚えてきたんだよ。」


「え?」


「じゃあもう俺今日から愛情表現するから嫉妬させるな。」


これでもかってくらい甘やかすから。


「えっ!嫉妬してたの?」


伝わってなかったか……


「今更。」


絶対、離すもんか。
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