きみは微糖の毒を吐く



袖も長くて手が隠れてしまうし、裾も長くてスカートが見えない。

……これって彼シャツならぬ彼スウェット?




「……確かにちょっとクるな」





少し目を逸らしながらそう呟いた絢斗くんの言葉の意味も、頬が少し赤い理由もよくわからないけれど。


でも、なんだかハッピーな誕生日かもしれない。





と、その瞬間。

絢斗くんのスマホが鳴って、着信を知らせた。


スマホの画面に「マネージャー」と表示されているのが見えて、ああ本当に芸能人なんだなぁ、なんて実感してしまった。




「はい」

『あ、もしもし絢斗?今どこ?』

「家」

『ふーん、何か元気そうじゃない。
もしかして誕生日祝ってもらえたの?』

「っ、」


近くにいるから、電話の内容が聞こえてしまう。誕生日……。




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