きみは微糖の毒を吐く
「どうしたの?木村さん」
「え、あ、いや!何でもないよ」
隣にいた宮崎くんに声を掛けられて、ハッと我に返る。
「……柳のこと見てたでしょ」
「っ!」
「そういえば木村さんも柳のファンなんだっけ」
「そ、そうそう、ファンで……」
飛行機の座席で絢斗くんの隣に座れたら……なんて夢みたいなことを想像したりもしたけれど、よく考えたら飛行機には班ごとに乗るからそれは無理なんだった。悲しいなぁ。
私、修学旅行中に絢斗くんと話せるのかなぁ。
「でも柳はは冷たいよな」
「え……」
「木村さん、いつも話しかけても冷たくされてるじゃん。
……俺ならそんなことしないけどね」
「……そんなこと、」
ないよ、って言おうとした声を遮って、先生が「搭乗の時間だぞー」と声を掛けたから、話が終わった。
前の人に続いて飛行機に乗りこむ。