きみは微糖の毒を吐く



「木村さん、隣座っていい?」



先に窓側の席に座っていた私に、宮崎くんがにこにこしながら聞く。


少し戸惑って悠里ちゃんの方に目を向けたけれど、悠里ちゃんも同じ班の別の男の子に誘われて席に座ったところだった。


断るわけにもいかなくて、いいよ、とうなずいた瞬間。





「宮崎、そこ代わって」



突然後ろから聞こえた声に、驚いて振り向く。



「絢斗くん!?」




いつも通り気だるげな絢斗くん。

……え、今、なんて言った……?




「うちの班の席うるさくて寝れない。
お前が隣で静かにしてて」




ぶっきらぼうな言い方で、めちゃくちゃな理由で。

他の男の子の隣に座りそうな私のこと、奪いに来てくれたって思ってもいいの?




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