きみは微糖の毒を吐く
「それ俺も思った。飛行機でも隣座ってたし、海でも一緒に戻ってきたよな?もしかして付き合ってたりして」
「えー、絢斗くんそんなことないよね!?」
そんな声が聞こえてきて、悠里ちゃんも少し心配そうにこちらを見る。
どうしたらいんだろう、と絢斗くんに助けを求めたら、絢斗くんは面倒くさそうに「付き合ってねーよ」と答えた。
それで合ってるはずなんだけど、なんだか寂しく感じてしまう。
「じゃあ俺、木村さん狙っちゃおうかなー。結構タイプなんだよね」
「男子ってこういう守ってあげたい系の女の子好きだよね」
佐藤くんと三島さんの言葉に、胸が苦しくなる。……嫌だな、こういう空気は苦手だ。
「ねえ木村さん、木村さんってどういう男がタイプなのー?」
にやにやしながら私たちの席に近づいてくる佐藤くんに、思わず視線を逸らす。
タイプ、って、そんなの。
ちらりと絢斗くんの様子を伺うけれど、絢斗くんは相変わらず興味なさそうにスマホを見ている。