きみは微糖の毒を吐く




「なんか乙葉、最近元気なくない?絢斗くんが学校来てないから~?」



お昼休み。今日も欠席の絢斗くんの席を見ていたら、悠里ちゃんがにやにやしながらそう聞く。



「そ、そういうわけじゃ……なくは、ない、けど」


「あはは、大ファンだねえ。でも確かに絢斗くんいないとクラスの空気もなんか違うよね」



そうだ、絢斗くん、悠里ちゃんにだけは言ってもいいって言ってくれたんだ。


……最近あまり会えてないし、今も付き合ってると言えるのかよくわからないけれど。




「あ、あのね悠里ちゃん」




周りに聞こえないように声を潜めて、悠里ちゃんに打ち明ける。




「……ずっと言えなかったんだけど、実はその、絢斗くんと……付き合ってて」



「……え?」


「ごめんね、誰にも言わないでって言われてて、だからこれも内緒にしてほしいんだけど」


「えええ!?」




悠里ちゃんは心の底から驚いた顔をしたけれど、泣きそうになりながら「よかったね……!」と抱きしめてくれた。




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