きみは微糖の毒を吐く
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「あれ、まだ帰ってないのかな」
放課後、一目散に絢斗くんのマンションに来てチャイムを押したけれど、返事がない。
お仕事が長引いているのかもしれない。
そう思って、マンションの前の公園のベンチに座って絢斗くんを待つことにした。
「なあ、もう帰れって」
「えー、いいじゃん家の前まで送らせてよ」
しばらく待っているとそんな会話が聞こえて、反射的に顔を上げる。
「え……」
向こうの道から歩いてきたのは絢斗くんと、紗英さん。
身バレ防止のためか紗英さんは帽子を深めに被っていて、絢斗くんもマスクをしているけれど、それでも目立つほど綺麗なふたりだ。
どうしよう、私、見つからない方がいいよね……?
付き合ってることは誰にも言うな、という絢斗くんの言葉を思い出して、植え込みの陰に隠れようとしたけれど。