きみは微糖の毒を吐く
「あれ、あの子って絢斗と同じ制服じゃない?」
紗英さんの言葉に、びくっと肩を揺らす。
まずい、ばれちゃったかもしれない。
絢斗くんがあー、と気まずそうな顔をしたのが見えて、慌てて立ち上がる。
「ご、ごめんなさい!絢斗くんのファンで、待ってたら会えるかなー、みたいな。迷惑ですよねすみませんでした!」
思いつくままに喋って、頭を下げる。
「えー、やば。
そういうの迷惑だからやめた方がいいよー」
「……はい」
しゅんと肩を落とす私。
絢斗くんが紗英さんを見る。
「紗英もこんなとこまで着いてくんじゃねーよ」
「もー、本当は嬉しいんじゃないのー?まあいいや、どうせ家には入れてくれないだろうから帰るね。あなたもしつこいと絢斗に嫌われるから帰った方がいいよ」
紗英さんは私を一瞥して、くるりと背を向けて、綺麗な巻き髪を揺らしながら歩いて行った。
取り残された絢斗くんと私。
なんだか気まずくて、視線を泳がす。