きみは微糖の毒を吐く
「え……?」
思いがけない言葉に、瞬きしながら絢斗くんを見つめる。
「行きたいんだろ」
「い、いいの!?」
「いーよ。けど制服はクラスの奴らに会ったら目立ちそうだから着替えて」
絢斗くんはそう言うと、クロゼットから黒のシンプルなパーカーを出して、私に渡す。
「とりあえずそれで我慢して」
「わ、わかった……」
とりあえずってどういうこと……?
何処で着替えればいいんだろう、と戸惑っていると、絢斗くんが私のリボンに手を掛ける。
「着替えさせてほしい?」
「じ、自分で着替えられる!」
慌ててお風呂場を借りて服を着替える。
パーカーを着た瞬間絢斗くんの匂いに包まれて、ドキドキして息が苦しくなった。
上だけをパーカーに着替えて、スカートは制服のままだけれどパーカーが大きいせいであまりスカートはよく見えない。
だから同じ学校の人に会っても、遠目では気づかれなさそうだ。