きみは微糖の毒を吐く

お風呂場から出たら、絢斗くんも帽子を深めに被って支度を終えていた。


帽子で身バレを防ぐなんて、本当に芸能人なんだなと思って感心してしまう。


 
絢斗くんに続いてマンションを出たけれど、ふたりきりで外を歩いたことがほとんどないから緊張してしまう。


……初めて絢斗くんの家に来た時くらい緊張する。





「絢斗くん、本当にいいの?」




無理してくれてるのかなって申し訳なくて聞いてみるけど、絢斗くんはまた呆れた顔をした。



「お前が恥ずかしくて隠してるわけじゃねーから」



「え……」

「変なこと考えんな」



ぶっきらぼうな言い方だけれど絢斗くんは優しくて、また「好き」が大きくなる。




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