きみは微糖の毒を吐く





「わ~!あのお店可愛い!あっ、あのアイスもおいしそう」


新しくできたショッピングモールだからはしゃいでいる私と、それを見て笑っている絢斗くん。なんて幸せなの!


「お前の服先に見るぞ」

「え?」



絢斗くんは決めていたように、女性ファッションのフロアに向かう。

可愛い服が並ぶ空間で、絢斗くんを見つめる。




「いいの?女の子の服見てもつまらなくない?」

「俺が見ようって言ってんの」


見たいとこあったら言えよ、って釘を刺してから、絢斗くんも服を選んでいる。



「お前どんな服が好きなの」

「うーん……可愛いのが好きかな」

「アバウトすぎ」

「えーと、淡い色とかスカートとか、そういうの……」



そう言いかけて、ある言葉が脳裏によみがえる。




『乙葉って男ウケいい服着るよねー、必死じゃん』


ある人に昔言われた言葉を思い出して、沈んでしまいそうな気持ちを振り払うように首を振る。


「じゃなくて、カジュアルなのが好きかも」



と言い換える。絢斗くんは不審そうに私を見る。




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