きみは微糖の毒を吐く



「いやいや、こんな堂々と彼女とデートしてるわけなくない?」
「えー、帽子でよく見えないけど似てるよ」




ど、どうしよう!ファンの子達かもしれない。


慌てて絢斗くんの方を見たら、絢斗くんはこんな時でも余裕な顔。


と、絢斗くんの綺麗な顔がゆっくり近づいてくる。


驚きすぎて硬直する私の唇に、優しく触れたそれ。


ちゅ、ちゅ、と角度を変えて深くなるキスに、目を閉じることすら忘れて絢斗くんの胸を叩く。



何考えてるの!?





「ほ、ほらやっぱり違うよ!こんな堂々とキスなんかしないよね!」
「失礼しましたー!」



女の子たちが少し顔を赤くして、バタバタと逃げていくのが見えた。


な、なるほど。


人気モデルがこんなに堂々と女のこといるわけないから違う人だって思わせようとしたってこと……。



安心したけれどまだ心臓がバクバクしている、のに。


絢斗くんはまだ顔を離そうとしない。




< 190 / 279 >

この作品をシェア

pagetop