きみは微糖の毒を吐く
プロローグ
「あの……柳くん、好きです!」
「……」
「柳くんの彼女に、してもらえませんか……?」
誰もいない放課後の教室。
大好きな彼が、ポーカーフェイスを崩さないまま私を見ている。
ゆるくセットされた、サラサラの黒い髪。
見上げるくらい高い身長に、左耳のシルバーリングのピアス。
人形みたいに整った顔があまりにも綺麗で、こんな瞬間さえも見とれてしまう。
「……いいよ」
「え……?」
「付き合おうか」
嬉しくもなさそうな、いつも通りの冷たい表情で。挨拶するみたいにさらっと、彼はうなずいた。