きみは微糖の毒を吐く



私は2年生になるタイミングで少し離れた駅にある学校に転校して、絢斗くんに出会った。


またあんなことになったらどうしよう、それなら誰とも関わらない方がましだ。


悪意を向けられるよりは、関心を持たれない方がいい。



そう思って誰とも喋らなかった私を悠里ちゃんと出会わせてくれたのは、絢斗くんだった。


誰かを好きになる気持ちを教えてくれたのも。


……絢斗くんに出会えたことが、私にとっての雨空のしただった。





こんなこと、絢斗くんには知られたくなかったのに。


絢斗くんには私の可愛い面だけ見ててほしい。


だって絢斗くんは、私とは釣り合わないくらいすごい人だから。


もうこのまま、今日のことは忘れてほしい。


私も前の学校のことは忘れて、普通に生きていきたい。そう、思っていたのに。




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