きみは微糖の毒を吐く
私と風間くんが距離を縮めるのに反比例するみたいに、絢斗くんの機嫌は悪くなっている。
いつも別に機嫌がいいわけではないけれど、冷たいし、笑ってくれないし、優しくしてくれない。
今日だって絢斗くんの部屋に呼ばれたから来たのに、絢斗くんはずっとマネージャーらしき人と仕事の電話をしていて私には構ってくれない。
いや、仕事の邪魔はしたくないから仕方ないんだけど。
でもさっきから、仕事の話っていうより今度美味い肉食べさせてよ、みたいな話してない?
マネージャーとの仲を疑うわけではないけど、マネージャーって女の人だったよね……?
ひとりにされるとそんなことをぐるぐる考えてしまって仕方ない。
絢斗くん、こっち向いてよ。
やっと電話が終わったらしい絢斗くんに、構ってもらえると思ったら、絢斗くんはすぐスマホを見始めてしまった。
話しかけたいけれどなんて声をかけたらいいのかわからなくて、視線を泳がす。