きみは微糖の毒を吐く



きみに言いたいことも、たくさんある。



絢斗くんはもう紗英さんと付き合ってるのかもしれない。



全部私の勘違いで、私のことなんて都合のいい女としか思ってないのかもしれない。




だけど私、まだ絢斗くんに何も伝えられてない。


私のこと、ちゃんと知ってほしい。
絢斗くんのこと、ちゃんと知りたい。



絢斗くんのことどれくらい大好きなのか、まだ伝えられてないよ。




雑誌を閉じて、スマホと鍵だけ持って家を出る。


……絢斗くん、絢斗くん。


はやく、はやくきみに会いたい。




糖分なんてなくてもいい。
無糖のままの絢斗くんでいい。



それでいいから、また呆れた顔でいいから、私の隣で笑ってほしい。



もう遅いかな、もう叶わないかな。


それでも私、きみが好きなんだよ。

走り出した夜の街で、月明かりだけが私を照らしている。




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