きみは微糖の毒を吐く






絢斗くんの家に着いて、思い切ってチャイムを押したけれど返事はない。

多分まだお仕事中で帰ってきていないんだろう。


仕方なく、マンションの前の公園のベンチに座る。


前も何回かこうやって絢斗くんを待っていたっけ。



もしかしたら、こうやって絢斗くんのマンションに来るのも今日で最後なのかもしれない。


そう思うと何だか複雑な気持ちだ。


……絢斗くんが帰ってきたら、どんな顔すればいいんだろう。


もし紗英さんと一緒だったらどうしたらいいんだろう。


1人でいるとそんなネガティブなことばかり考えてしまって、泣きそうになる。





絢斗くんも、私を好きでいてくれますように。

私の期待が、勘違いじゃありませんように。

絢斗くん、きみに伝えたいことがたくさんあるよ。




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