きみは微糖の毒を吐く
「……乙葉?」
どれくらい経っただろう。
もうすっかり外は暗くなっていて、肌寒い。突然聞こえた声にパッと振り返る。
すると、私以上に驚いた顔をした絢斗くんが立っていた。
よかった、1人だ。なんて思ってしまう。
「……あの、話したいことが、あって」
あんなに意気込んで走ってきたのに、いざ絢斗くんを目の前にすると声が震えてしまう。
「……わかった、来て」
絢斗くんはすぐにいつものポーカーフェイスに戻って、マンションに入る。
私は家に上げてくれることにホッとしながら、絢斗くんの後について部屋に入った。