きみは微糖の毒を吐く
「前の学校でね、友達の好きな人に告白されて、それからみんなに無視されるようになったの」
「……うん、聞いた」
「すごく苦しくて、本当に私が全部悪くて、私さえいなければよくて、私の居場所も、私を好きになってくれる人も、どこにもいないと思ってたの。こんな私のこと、大好きな絢斗くんにだけは知られたくなかったの。だけど、私の全部知ってほしいし、絢斗くんの全部、知りたいと思ってる、っ」
ぽろぽろと零れる私の涙を、絢斗くんはその綺麗な指で、宝物に触れるみたいに優しく拭った。
「……『雨空のしたで』の話、本屋でしてたの俺だよ」
絢斗くんの言葉に、「もしかして」が確信に変わる。
「……そうなのかなって、さっき気付いた」
「さっきかよ。俺はずっと知ってたけど」
「本当……?」
「だからお前と付き合ったんだよ」
絢斗くんがとびきり優しい顔をするから、胸の奥がぎゅうっと、掴まれたみたいに締め付けられて。
そこから、甘くて温かい気持ちが溢れてくる。