きみは微糖の毒を吐く
「絢斗くん、コンビニで何買うの?」
「んー、何だろ」
きっと本当はコンビニに用なんてない。
私を送ってくれるための口実。
それを素直に言わない絢斗くんのことも、愛しいと思ってしまう。
これは完全に、きみの毒のせいだ。
いつも冷たいきみは、苦くて、痛くて、ひりひりする毒を私に盛る。
だけどそれはときどき甘くて、ちょっとだけお砂糖がかかっている時もあって。
だから私は、その毒に侵されている。
あの日から、もうずっと。
きみが私を好きじゃなくたって、いいよ。
都合のいい女だっていいよ。
──きみの隣にいられるのなら、もうなんだっていいよ。
街灯が照らす彼の横顔を見上げながら、そんなことを思った。