きみは微糖の毒を吐く
「……話しかけるくらいは、いいでしょ?」
私たちが付き合ってることは、みんなに秘密。
そう約束はしたから守るけど、クラスメイトだったら一緒に歩いてたっておかしくないよね。
「……勝手にすれば」
勝手にすればって、ぶっきらぼうな返事。
でもそれは絢斗くんなりの「いいよ」って意味だって、ポジティブに解釈しておくね。
「そうだ、昨日のクッキーすごく美味しかったよ」
「そう」
「自分で買おうかなーと思って調べたんだけど、ちょっと高すぎて買えなかった」
「へえ」
やる気のない返事。
眠そうにあくびをしている絢斗くんは、そもそも私の話を聞いているのかすらわからない。
それでもめげずに「今日は修学旅行の班決めするらしいよ」とか「沖縄だって。楽しみだね」とか話しかけるけれど。
それでも絢斗くんからは適当な返事しか返ってこなかった。