きみは微糖の毒を吐く
曖昧の恋人
「ねえ見た!?絢斗くんの表紙」
「見た!格好良すぎて死ぬかと思ったぁ」
今日発売のメンズファッション誌を囲んで、クラスの女の子たちが黄色い歓声を上げる。
私も今朝、学校に来る前に買ってきた、鞄の中に入ったそれを覗いて頬を緩める。
そこには、人気ブランドの新作を身にまとった、うちのクラスのイケメン。柳 絢斗くん。
私と同じクラスの高校2年生でありながら、モデルのお仕事もしている男の子。
顔はモデルにスカウトされるだけあって、国宝級イケメン。何より、すらっと長い脚に高い身長のおかげで、遠くにいても人の目を引く。
「乙葉も買った?絢斗くんの雑誌」
私の席にやってきて、声を掛けるのは友達の悠里ちゃん。
この春転校してきたばかりでひとりぼっちだった私と仲良くなってくれた優しい子だ。