きみは微糖の毒を吐く
「買っちゃた」
私はへらりと笑いながら鞄の中の雑誌を取り出す。
格好良くポーズを決めた表紙の絢斗くんの見下ろすような視線は、高校生とは思えないほど色っぽくて、別世界の人みたいだ。
この人が同じクラスだなんて。
それどころじゃなくて……。
と、ブレザーのポケットの中でスマホがメッセージの受信を知らせる。慌ててスマホを取り出したのと、教室のドアから彼が入ってきたのはほぼ同時だった。
「あ、絢斗くんだ!」
「雑誌買ったよ~!」
わっと絢斗くんに駆け寄る女の子たち。それを冷めた目で一瞥して、チッと舌打ちをする彼。
「……朝からうるせえ」
その酷い言葉に、きゃー!って黄色い歓声が上がる。
「そういうところも好き!」なんて騒ぐ女の子たち。わかるよ、その気持ち。