きみは微糖の毒を吐く
ぼーっとその様子を見ていたら、彼の綺麗な目が私をとらえて。
ドクン、と心臓が跳ねる。
目が離せなくて、一気に脈がはやくなって、体中がきみが好きだって言ってる。
そういえばと思い出してスマホを見たら、ロック画面にメッセージの通知画面。
『柳絢斗:放課後、俺の家』
単語だけのメッセージ。それだけで心が舞い上がる。
そう、絢斗くんは私の彼氏……の、はずだ。
「乙葉、また絢斗くんのこと見てる。本当に好きなんだね」
悠里ちゃんは、私が絢斗くんと付き合っていることは知らない。私が絢斗くんのただのファンだと思っているだろう。
『でも、付き合ってることは誰にも言うなよ』
絢斗くんに告白したあの日、彼に言われた言葉を思い出す。
私たちが付き合っていることは、誰も知らない。
……私ですら、絢斗くんがどうして私と付き合ってくれるのかわからない。