きみは微糖の毒を吐く
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「……ってことがあって、あの男の子のおかげなんだ。私が救われたの」
それからだって、嫌なことはたくさんあった。
自分なんていなくなっちゃえばいいって思ったことも。
それでもこの本は、「ここにいてもいいんだよ」って言ってくれたから。
「あの人は私がこんなことに救われてるなんて思ってないだろうけど、いつかお礼が言いたいなぁ……って、顔も見てないからわからないんだけどね」
はは、と笑って見せたら、絢斗くんはなんだか複雑そうな顔をしていた。