きみは微糖の毒を吐く
彼女の特別



「どうしよう、もうすぐだ……」




数学の授業中、自分のスケジュール帳とにらめっこしながらため息を吐く。

7月18日、金曜日の欄に書いてある『絢斗くんお誕生日』の文字。


ここ1ヵ月くらいずっと何をしようか悩んでいた大好きな彼の誕生日が、もうあと1週間というところまで迫っているのだ。



どうしよう。絢斗くんは大人気モデルなんだから、欲しいものは自分で買えてしまうだろう。


私の貯めていたお小遣いなんて微々たるものだし、そもそもモデルの絢斗くんにプレゼントをあげるなんてプレッシャーがすごい。



私そんなにハイセンスなもの選べないよ……。



だけどせっかく、付き合って初めての、2回目以降があるのかもわからない彼氏の誕生日だ。

少しでも楽しいと思ってもらいたいし、あわよくば私を好きになってほしいし。


この堂々巡りを永遠に繰り返していて、結局何も決まっていない。


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