きみは微糖の毒を吐く
「……大丈夫、かな」
急に来てしまったけれど、迷惑がられないだろうか。
絢斗くんの家にアポなしで来たことは今までない
。面倒くさそうな顔をされるのが目に見えていたし、ドアが開いた瞬間、知らない女の子が絢斗くんの部屋にいたら怖いし。
あれだけ可愛い女の子たちに囲まれていたら、彼女が大して好きでもない私みたいな普通の子だったら、そんなこともあり得てしまうだろうから。
だから傷つきたくなくて、知りたくなくて、呼ばれた時にしか来ないようにしている。
そもそも合鍵もないから、来てもいないかもしれないし。
マンションの高級そうなエントランスに入って、チャイムを押してみたけれど案の定返事はなかった。
まだ仕事中だよね、普通に。
仕事場まで行って、終わるのを待とうかとも考えたけれど、どこで仕事なのかも知らないや。