きみは微糖の毒を吐く
仕方なく、マンションの横にある小さな公園のベンチに座る。
1人でこうしていると、なんだかいろいろ考えてしまって嫌だな。
……それからどのくらい経ったんだろう。
話し声が聞こえて、見ていたスマホから目を離す。
「ねえいいじゃん絢斗、ここまで来たんだから家も入れてよ」
「いや無理」
「なんで~?まさか女がいるとか?」
「いないけど」
聞き覚えのある声に、思わずしゃがんで木の植え込みの陰に隠れた。
絢斗くんと、紗英さんだ……。
今日も撮影で一緒だったのかな。
撮影の後にご飯食べたりしたのかな。
……紗英さんと、家まで一緒に来る仲なんだ。
一気に心が沈んでしまって、陰から2人を見るのすら辛くなってきた。
幸い、外はもう暗くなり始めているから、私の存在に2人は気付いていない。