きみは微糖の毒を吐く


「仕方ないな」なんて言って紗英さんを部屋に上げてしまったらどうしよう。


そんな場面絶対に見たくないよ……!





「絢斗、絶対家には入れてくれないよねー。潔癖?」

「あー、そうかも」




……家には、入れてないんだ。


そのひと言でホッとしてしまう自分が、なんだか汚く見えて嫌だ。



……潔癖なのに、私のことは入れてくれるんだって、少し期待してしまいそうになる簡単な自分も、嫌。





「じゃあここで渡すね。ハッピーバースデー!」


じゃーん、と高校生にはとても手が出ないハイブランドのショッパーを差し出す紗英さんに、ズキンと胸が痛くなる。


大学生で、モデルで、私とは全然違う。


途端に自分の持っているフォンダンショコラとスマホケースが恥ずかしくなる。




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