きみは微糖の毒を吐く
渡してもいいのか迷っていると、絢斗くんの手が私の指に触れる。
きゅ、と心臓が跳ねて、指先から熱が広がってくる。
「何これ、火傷?」
「あ、そう……」
「どうした?」
「……お菓子、つくったから」
小さな声で呟いたら、え、と驚かれる。
料理をすることはあるけど、お菓子作りは初めてで。オーブンとかもあまり使ったことがないから火傷もしちゃったし、何個も失敗してしまった。
「お菓子?」
ああもう、渡しちゃおうかな。
ここまで言ってお菓子渡さないのも変だよね。
ええい、と床に置いていた紙袋を、絢斗くんに差し出す。