檻の中の魔術師
 ある日、一人の少女に出会った。

 出会ったと言っても、直接顔を合わせた訳じゃない。

 声が聞こえてきたのだ。

 「待ってて」

 ただそれだけだったけど、僕からしたら大変驚きだ。

 だって今まで僕が立てる音以外無音だったのに、なんで急にそんな事が。

 その少女が誰なのかも分からなかったけど、その事実は僕の心に深く残ることになった。

 でも、何故だろうか。

 僕自身が、彼女を拒んでいる気がしてならない。
< 5 / 7 >

この作品をシェア

pagetop