檻の中の魔術師
 何日という概念は心中に確かにあるのに、この世界、世界かも分からないどこかにはそれがない。

 年数も、週も何もない。

 僕しかいないここでは僕自身がルールとならざるを得ないので、僕が決めていない以上仕方ないが。

 しかし、この前少女の声が聞こえたばかりだというのに、もう次の現象があった。

 何やら手紙が落ちてきたのだ。

 天井から。再び見上げても、もうなにもない。

 警戒しながら、僕は便箋を持ち上げた。
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