ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
「はづー、終わった?」

子ども部屋のドアを開けると、そこは泥棒に荒らされたかのように散らかった床が広がっていた。

驚きつつも、葉月に目を向けると葉月は色んな棚から色々引っ張り出して漁っている。

「何してるの?」

「んー、明日持ってくもの選んでるー」

選ぶも何も、2日で帰ってくるんだから特に何もいらないのに。

「そんなに沢山持っていけないよ。それに、何をそんなに持っていくの?旅行先でも沢山楽しい所行くんだから、そんなに遊んでる時間ないんだよ?」

「えーー」

床のおもちゃたちを避けながら葉月の傍に行きリュックを見ると、望笑夏に負けないくらい多くのものが入っている。

「おもちゃはひとつまでにしよう?柚月も望笑夏もそういうルールにしてるからさ。沢山持っていって落としたり壊したりしたら困るでしょ?」

「……しょうがないなあ」

それはこっちのセリフだよ、と苦笑いしながら床に散乱しているおもちゃたちを少し片付ける。

なんで短時間でこんなに汚せるんだろう、と不思議に思いつつ、帰ってきたら片付けさせなきゃなと考える。

そのタイミングで、リビングから走ってくる小さな足音が聞こえてきた。
< 10 / 67 >

この作品をシェア

pagetop