ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
結局、渋る葉月を説得して、3人寝かしつけ終わったのは、23時過ぎだった。

子どもたちの準備に時間を取られて、私の手荷物の用意が出来ていない。

旅行だから、念の為を考慮しつつ色々考えながらものを詰めていると、お風呂に入っていた楓摩が上がってきた。

「あれ、もしかしてまだ終わってなかった?ごめん!もう、終わったものだと思って呑気にお風呂入っちゃった。ちょっとまってて、手伝うから!」

「あっ……」

そんなのいいのに、と言おうとしたのに楓摩は洗面所に行くとタオルを持ってきて髪を拭いてから首にかけた。

「ごめんね、気付かなくて。何の準備がまだある?」

「ううん、もうすぐ終わるから大丈夫だよ。」

「…でも、寝かしつけもしてもらったし悪いよ。朱鳥も、もう疲れてるでしょ?早く寝るために一緒にやろう?」

そう微笑む楓摩に、またキュンとする。

……ほんと、こういうとこ。

優しくて、気が回って、それでいて無理やり言っている感じがなくて、素でこの優しさなんだとわかる。

「ありがとう。」

そう言うと、楓摩はまたニコッと笑って私がしまっている途中だった衣服類を畳んで収納してくれる。

楓摩がいるだけで、作業速度は倍以上早くなった。
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