ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
「朱鳥、おはよう。」

肩を叩かれ目を開けると、微笑んだ楓摩の顔。

あ、もう朝か。

昨日の夜は、いつもより動いたせいでベッドに入ってから直ぐに眠りに落ちてしまった。

ふああと欠伸をしつつ、布団から出る。

「おはよう、楓摩。今日、楽しみだね。」

そう言うと、楓摩も笑い返してくれる。

「俺も楽しみ。早く、子どもたちが喜んでくれる顔が見たいよ。」

こんな時まで子ども思いの楓摩に少し笑ってしまう。

「私も。」

そう話しながらリビングに着くと、今朝の朝食は和食だった。

しかも、今日は楓摩が早く家を出ることもないから、5人分の朝食が並んでいる。

「子どもたち起こしてくるから、先座ってて。」

「うん、ありがとう。」

そう言われて、言葉に甘えて先に着席する。

久しぶりだな、みんなで朝の食卓を囲めるの。

そう嬉しく思っていると、楓摩がみんなを起こしてきてくれた。

柚月と望笑夏はいつも通りバッチリ、葉月は眠い事と久しぶりに楓摩が朝からいるからか、楓摩に甘えて抱っこしてもらって来た。

「おはよう、葉月、柚月、望笑夏」

そう言うと各々個性溢れた返事をくれる。

柚月はクールに、望笑夏は元気に、葉月は眠たそうに。

みんなが座って、楓摩がいただきますの挨拶をする。

元気な声が響くその空間は、幸せそのものだった。
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