ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
普段なら照れくさかったり、なかなか言う機会も無く言えない言葉も今日は何だかお互いに伝えられた。

そのまま和気あいあいとした雰囲気で楓摩とお喋りをしていると、距離だけでは遠く感じていたホテルにもすぐ到着してしまった。

一度、エントランスの前に車を停め子どもたちと荷物を降ろすことになり、後部座席で眠る子どもたちに声をかける。

「ゆづー、はづー、のえかー、着いたよー。起きてー。」

そう言うと、一番初めに柚月が眠たげに目を覚まし、声をかけただけでは起きない横に座る葉月と望笑夏を起こしてくれる。

「はづ、のえちゃんおきて。ついたって。」

そう柚月が声掛けをしてくれている間に、楓摩が入口前に車を回すと、中からホテルの従業員さんが出てきた。

私が車を降りると、とても丁寧な挨拶をしてくれて、さらに部屋に荷物を運ぶ台車も持ってきてくれた。

とりあえず、子どもたちのことは柚月に任せて、後部座席のドアを開ける。

私はトランクから荷物を取り出そうと車の後ろに向かうと、運転席から楓摩が降りてきた。

「荷物は重いから俺がやるよ。朱鳥は子どもたち降りるの手伝ってあげて。」

その些細な気遣いにまた嬉しくなりつつ、私は頷いて柚月たちの元へ向かった。
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