ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
「ん……」

結局、朱鳥が目を覚ましたのは夕飯の時間の少し前だった。

「おはよう。気分はどう?」

寝返りのせいで少し乱れた髪を撫でながらそう聞くと、朱鳥はまだ眠そうな顔で少し笑って

「ありがとう、少し良くなった。」

と言うと、ゆっくりと体を起こした。

俺の目から見ても、朱鳥の顔色は寝る前より全然良くなっている。

寝たことで少し回復したようだ。

安心しつつ、朱鳥が降りた布団を畳んで再び押し入れに戻した。

「さて、じゃあ朱鳥も起きたことだし、ご飯食べに行こうか。」

子どもたちにも聞こえるようにそう言うと、テレビを見ていた3人は顔をぱあっと明るくさせると朱鳥の元に駆け寄った。

「のえちゃんママと手繋ぐ!」

「はづも!!!!」

主張の激しい女子二人。

柚月は黙っているけれど、手を繋ぎたそうに朱鳥を見ている。

「ほら、みんな朱鳥を取り合わないの。手を繋ぎたい人はじゃんけんだよ。」

そう言って俺の掛け声に合わせたジャンケンで勝ったのは柚月と望笑夏。

柚月の嬉しそうな表情が微笑ましい。

「葉月はパパとでもいい?」

「うん!」

明るい即答に嬉しくなる。

「じゃあ、改めて。行きますか!!」
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