ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
「ただいまー」

玄関が開く音がして楓摩が帰ってきた。

今日は珍しく帰りが早い。

一緒に夕飯を食べられることに喜びながら、料理をしている手を止めて玄関に向かう。

「おかえりなさい、今日は早かったね。」

「ただいま。今日は予定が少なくて、仕事も早く片付いたんだ。…あ、カレーの匂い。今日はカレー?」

「うん、正解。テレビで見て食べたくなっちゃって。」

楓摩と他愛もない話を交わしながらリビングに戻る。

楓摩はジャケットを脱ぐと、着替えるために一度部屋へ戻る。

その間に、先に出来上がっていたサラダを盛り付けて食卓テーブルに並べる。

「葉月ー、柚月ー、手伝って~」

テレビを見ている2人に声をかけると、2人はすぐに来てくれる。

「葉月はお箸とスプーン出してくれる?柚月は、望笑夏のおもちゃのお片付けのお手伝いお願いしていい?」

「うん!」

「わかった。」

すぐに行動に移してくれる2人をありがたく思いながら、カレーライスを盛り付ける。

ちょうど、食卓に出揃った所で楓摩が戻ってきた。

「わあ、美味しそうだね。…って、あれこれ懐かしい~、どうしたの?」

そう言って、楓摩が手に取ったのは昼間に避けておいた写真。

「今日アルバムを整理してたらどこかのアルバムから落ちてきたの。あとで、楓摩に聞いてみようと思って置いておいたんだ。」

「そっか。俺も久しぶりに見たなこれ。特に特別なこともないけど、ご飯食べ終わったら教えてあげる。」
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