ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
「朱鳥、朱鳥。おはよ、朝ごはんできたよ。」

「ん、ぅ…楓摩、おはよう。」



楓摩に起こされて目が覚める。

窓から差し込む明るい日光の暖かさととパンのいい匂いを感じる。

いつも、当直じゃない時は朝ごはん担当は楓摩だ。

まだ眠い目をこすりながら、ダイニングへ向かう。

テーブルの上には、トーストといくつかのおかず、それと楓摩の方にはコーヒー、私の方にはオレンジジュース。

「今日のトーストすっごく美味しそう」

「本当?今日はいつもと違うパン使ってみたからさ。」

朝の少し早い時間

楓摩が出勤する前のこの時間に、少し余裕を持って楓摩と2人で食べる朝ごはん。

子どもたちはまだ寝ていて、完全に2人っきり。

私はこの時間がすごく好きだった。

普段、忙しくて夜も遅く帰ってくる楓摩とゆっくり話せる時間がここくらいしかないから。

テレビを見ながら、他愛もない話をして、ゆっくり食べる朝ごはんは毎日とても美味しい。

「どうしたの、朱鳥。そんなにニコニコして」

楓摩が不思議そうな顔をする。

「ううん、ただ、この時間好きだなって思ってたの。楓摩とゆっくり話せるから。」

そう言うと、楓摩は少し驚いたような表情をしてからふふっと笑う。

「どうしたの?そんな急に改まって。俺も、毎日この時間が癒しだよ。」

ニコッと笑った楓摩は、やっぱりかっこよくて、結婚して数年経つのに顔がぽぽっと赤くなるのを感じる。

「あ、照れた。」

茶化すように笑われて、釣られて私まで笑ってしまう。

結婚して数年経ってもずっと絶え間なく好きだって思えるのは、こういう所なのかもしれないと最近思う。

楓摩といるといつも笑顔になれて、幸せを感じる。

あぁ、好きだなって毎日思えるんだ。
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