ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
食器を片付け、子どもたちをお風呂に入れる。

最近は、葉月と柚月が望笑夏のことを見てくれるから3人で入ってもらっている。

リビングに戻ると、ソファで楓摩が写真を眺めていた。

「それ、楓摩がお医者さんになったばっかりの時?隣、陽向先生だよね。」

そう言いながら、楓摩の隣に座る。

「そうだよ。俺たちがまだ研修医の時の写真。…ってことは、もう15年くらい前か。」

「そんなに前なんだ。楓摩、ちょっと顔が幼いよね。」

「そうだね、若かったから笑 でも、陽向も変わんないなー。」

楓摩は笑いながら、写真の話をしてくれる。

その中で、1人だけ仏頂面の人を見つけた。

「楓摩、この人は?」

「ん?これ誰だ……って、あ!」

楓摩は驚いたように写真に食いつく。

「…これ、北斗だ。」

北斗先生って……あの、北斗先生?

私の知っている北斗先生は、近所のクリニックで働いている優しい精神科のお医者さんだ。

「よく残ってたな、これ。…北斗、昔ちょっと尖ってたから、写真にもほとんど写っていないのに。」

今とは全然雰囲気が違くてびっくりしてしまう。

私が唖然としていると、楓摩は笑いながら研修医時代の話をし始めてくれた。

「これは、俺たちの研修が始まったばかりの時だったんだけどね_______________」
< 30 / 67 >

この作品をシェア

pagetop