ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
最初は、外来の見学だった。

男が3人まとまっていては子どもにビビられるとのことで、俺たちはそれぞれ別の先生の外来を見学することになった。

ジャンケンの結果、陽向と白井くんは別の先生で俺は染谷先生になった。

「んじゃ、よろしくー。突っ立って見てるだけじゃつまんないだろうから、処置あったら手伝ってね。」

「はい。わかりました。」

時間になり、看護師さんが患者さんを呼ぶ。

街の真ん中にある大きな病院ということだけあって、風邪などの軽い症状の患者さんは少ないようだ。

少なくとも、みんな何かしらきちんと継続した治療が必要な患者さんばかりだ。

診察の中で、疑問点や必要なことをメモしていく。

「清水、次検査入るからお前も着いてきて。」

「はいっ」

診察室を出て処置室に入る。

「エコーなんだけど、小さい子で動いちゃう危険があるから、鎮静剤入れるから点滴頼める?」

「はい。」

医学部の時に練習でしたことはあるものの、実際の患者さんに点滴を打つのは初めてだ。

しかも、エコーで動いてしまう小さい子ということは、恐らく未就学児だろう。

きっと血管細いよな…

と少しビビりつつ手洗い場で手を洗ってから消毒をする。

処置室に戻ると、看護師さんに抱っこされた3歳くらいの子が少しぐずった様子で待っていた。
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