ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-

「白井くんはさ、なんで麻酔希望してるの？」

重苦しい空気を感じて、乗りやすい話題の話を振る。

「確かに。麻酔って難そうだし、なんでわざわざ？」

「…別に。お前らに説明する必要が無い。」

あーあ、またこの雰囲気。

少しは空気を読んでくれよ、と思いながらも、笑いながら誤魔化す。

「教えてくれてもいいじゃん。これからしばらく同じなんだし、仲良くしようよ。」

「……馴れ合うつもりは無い。」

そう言うと、また白井くんは無言で蕎麦を啜り始める。

「…なあ、お前、感じ悪いよ。少しは空気読めよ。せっかく仲良くしようとしてんだからさ。」

ああ…陽向が半ギレだ。

陽向はこういう所をズバッと言っちゃうから、それがいい時もあるけど今回は空気を悪くするだけだ。

「…………」

「おい、黙ってないで何か言えよ。」

更に喧嘩腰になる陽向を肩を叩いて少し宥める。

「……はあ。………お前らと馴れ合うつもりは無いって言ったの聞こえなかった？…俺はお前らと違ってお遊びで来てるわけじゃないんで。」

そう言うと、白井くんは立ち上がって蕎麦を下げに行く。

「はあ？？？」

ブチ切れで、追いかけていきそうな陽向を抑えて椅子に座らせる。

「なんなんあいつ？楓摩も腹立たないわけ？俺らがお遊びだって？？自分だけ気取って、こっちのこと見下してんのかよ。」

ダンダンとイライラを床にぶつける陽向をまた宥めて、落ち着かせる。

「まあまあ、とりあえずここは人目があるから、穏便に済まそう。言い方は腹立つけど、何かあるのかもしれないしさ、とりあえず落ち着こう。」

「…………すまん。」