ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
「みんなー、おはようー」

寝室の扉を開けると、相変わらず酷い寝相の子どもたち。

柚月は比較的寝相はいいものの、葉月と望笑夏の寝相がひどい。

葉月は布団を剥いで足が柚月の寝ている方に向いているし、望笑夏なんて寝たはずの方向と真っ逆さまになって寝ている。

「起きてー、もう朝ですよー」

カーテンを開きながらそう言うと、柚月が起き上がる。

「おはよう柚月。ご飯できてるよ。」

「…うん」

柚月は眠そうな目を擦ると、すぐにベッドから降りてリビングへ向かう。

柚月は寝起きが良くて助かる。

土日などの朝起こさない日でも、柚月はひとりで起きてきてくれるし。

でも問題はあとの二人。

寝起きが悪すぎる葉月と、起こさない限りいつまで経っても起きないマイペースな望笑夏。

二人が声掛けだけで起きることは稀で、近くまで行き体を揺すらないと起きる気配すらみせない。

「ほーら、起きて。ご飯冷めちゃうよー」

2人の肩を揺らすと、望笑夏はパチッと目を覚ましムクっと起き上がる。

「おはよう望笑夏、ご飯できてるよ。」

「うん!」

望笑夏は本当に目覚めはいい。

一度起きると、直後から昼間と同じくらい元気がある。

スクッと立ち上がってテクテクとリビングへ歩いていったのを見てから、また葉月の肩を揺らす。

「はーづー、いい加減起きないと遅刻するよ?」

「ん……」

再び布団に潜ろうとする葉月を阻止して布団を剥がす。

「もうこれ以上起こさないからね。」

そう言うと、やっと渋々目を覚ます。

葉月の寝起きの機嫌は最悪で、普段からは考えられないくらい目つきも悪くていつも笑いそうになってしまう。

亀のようにゆっくりとした足取りでリビングへ向かった葉月を確認してから、軽くベッドを直して私もリビングへ向かう。
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