ある雪の降る日私は運命の恋をする-short stories-
それから少しして、見学の時間が近付いてきた。

「もうそろそろ準備する?」

見学に入るには、術者ほどでは無いものの、菌が入らないように細心の注意が払われるためいくつかの準備が必要だ。

直前に行って間に合わないくらいなら、少し早めに行って早めに着く方がいいだろう。

「そうだな。少し早いけど、もう行っておこうか。」

陽向は相変わらず、白井くんに目もくれようとしない。

子供っぽいなあと半ば呆れつつも、パソコンの画面に集中している様子の白井くんの肩を叩いてアイコンタクトを送る。

振り向いた白井くんは、それに気付くと小さく頷いて席を立つ。

今日はいつもより棘がなくて、何だか変な感じがするけど、まあ刺があるよりはいいかと思い、さほど気にとめずに医局を出た。




手術準備室で念入りに手洗いを含む準備をして、予定よりも5分ほどはやいが手術室に入る。

予定では、開頭作業が終わるくらいで入る予定になっていたが、先生の手つきが良いせいかもう既に開頭作業は終わっていた。

俺と陽向から少しだけ遅れて白井くんも入ってくる。

術野は大きなモニターに映し出されていて、俺らはそれを見つつ、次からは助手に入れるようになるため脳内でシュミレーションも行う。

染谷先生の手術速度はとても早く、今まで見学をしてきたどの手術よりも断然スピードがはやいのにも関わらず、とても正確だ。

改めて凄い先生なんだとわからされると同時に、強いあこがれの気持ちが湧いてくる。
< 41 / 67 >

この作品をシェア

pagetop